ジャン=リュック・ゴダール『映画史 テクスト』より

DVD>ジャン・リュック・ゴダール映画史(5枚組) (<DVD>)

DVD>ジャン・リュック・ゴダール映画史(5枚組) ()

「4A 宇宙のコントロール」から(エリー・フォール『美術史 近代芸術1』の転用)。

死へと向かうわれわれの道のりの跡を追いながらも、映画は涙を流さず、われわれのことを嘆き悲しまず、われわれを励ますこともしない。
それはわれわれと共にいるから。
われわれ自身であるから。
それはそこにいる、揺りかごが光り輝くときに。
それはそこにいる、窓の方に身をかしげた少女が何も知らない目をして、胸の谷間を真珠で飾り、われわれの前に現れるときに。
それはそこにいる、われわれが彼女の服を脱がせ、こわばった彼女の上半身がわれわれの熱狂のうねりに震えるときに。
/
それはそこにいる、子供を両腕に招き入れるときの、母性的な感情のままに、女がわれわれに両膝を開くときに。
それはそこにいる、彼女から果実がこぼれ落ちるときに。
一度、二度、三度、彼女の人生で、それはいったい幾度か。
その後もそれはそこにいる、彼女が年老いて、顔はひび割れ、乾いた両手がわれわれに、人生がひどいものだったことを恨んではいないと、言って伝えるときに。
それはまだいる、われわれが年老いて、迫り来る夜の方を、じっと見つめるときにも。
そしてそれはそこにいる、われわれが死んで、われわれの亡骸が死装束を、われわれの子供の腕に差し伸ばすときにも。