マルクス/エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』より

ドイツ・イデオロギー 新編輯版 (岩波文庫)

ドイツ・イデオロギー 新編輯版 (岩波文庫)

「補録 [フォイエルバッハに関するテーゼ]」から。
(※強調、注等は省略)

(一)従来のあらゆる唯物論フォイエルバッハのそれも含めて)の主要な欠陥は、対象が、つまり現実、感性が、ただ客体ないし直観の形式でのみ捉えられ、感性的・人間的な活動、実践として、主体的に捉えられないことである。それゆえ、活動的側面は<観念[論的]>抽象的に、唯物論とは反対に観念論−−これはもちろん現実的・感性的な活動そのものを知らない−−によって展開[される]。フォイエルバッハが欲するものは感性的な−−思考された客体から現実的に区別される、客体である。しかし、彼は、人間的活動それ自身を対象的活動として捉えることをしない。
[中略]
(二)人間の思考に−−対象的真理が到来するかどうか−−という問題は、<ただ>理論の問題ではなく、実践的な問題である。実践において人間は自らの思考の真理性を、すなわち思考の現実性と力を、思考がこの世のものであることを、証明しなければならない。思考の現実性と非現実性をめぐる争いは−−思考が実践から遊離<する>されているなら−−純粋にスコラ的な問題である。