グスタフ・ヤノーホ『カフカとの対話』より

カフカとの対話 (ちくま学芸文庫)

カフカとの対話 (ちくま学芸文庫)

p.315

 F・Wという青年が恋に破れて自殺した。
 私たちはそのことを話し合った。
 フランツ・カフカはそのときの対話のなかで言っている。「愛とはなにか? きわめて簡単なことではありませんか。愛とは私たちの生を高め、拡げ、豊かにする一切をいいます。あらゆる高さと深さに向かって、ということです。愛は乗物のように、問題の外にあります。問題となるのは、ただ操縦者であり、乗客であり、そして街路なのです」