ネグリ『マルクスを超えるマルクス』より

マルクスを超えるマルクス―『経済学批判要綱』研究

マルクスを超えるマルクス―『経済学批判要綱』研究

『要項』においては、労働は直ちに抽象的労働として提示されているように思われる。このレベルにおいてしか、労働を理解し、理論内に組み込むことはできない。労働は、生産の社会的関係というレベルにおいてのみ直ちに認知可能になる、という意味で抽象的なのである。だから、労働は交換関係と資本制的生産構造を基礎としてしか定義できない。マルクスにおいて、労働の概念は賃労働の概念であり、資本の再生産のために社会的に必要な労働という概念以外に労働の概念はない。つまり、復権すべき、解放すべき、崇めるべき労働という概念は存在しない。あるのは、ただ、廃棄すべき労働の概念および現実だけである。