孫子『兵法』

新訂 孫子 (岩波文庫)

新訂 孫子 (岩波文庫)

「謀攻篇」一。

孫子曰、凡用兵之法、全國爲上、破國次之、全軍爲上、破軍次之、全旅爲上、破旅次之、全卒爲上、破卒次之、全伍爲上、破伍次之、是故百戦百勝、非善之善者也、不戦而屈人之兵、善之善者也、
 孫子はいう。およそ戦争の原則としては、敵国を傷つけずにそのままで降伏させるのが上策で、敵国を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。軍団を無傷でそのまま降伏させるのが上策で、軍団を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。旅団を無事でそのまま降伏させるのが上策で、旅団を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。大隊を無傷でそのまま降伏させるのが上策で、大隊を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。小隊を無傷でそのまま降伏させるのが上策で、小隊を討ち破って屈服させるのはそれには劣る。こういうわけだから百たび戦闘して百たび勝利を得るというのは、最高にすぐれたものではない。戦闘しないで敵兵を屈服させるのが、最高にすぐれたことである。