「規範の否定者としてのレーニン」

レーニンの言語 (叢書 記号学的実践)

レーニンの言語 (叢書 記号学的実践)

V・シクロフスキー「規範の否定者としてのレーニン」(『レーニンの言語』所収)より

演説や論文のそれぞれが、すべての言語を改めて最初から定義し始めたかのごとくである。[……]レーニンは書物を暗記する人々を毛嫌いする。彼の文体は、革命的美辞麗句の格下げと、伝統的な言葉の日常的な同義語への置き換えに存する。この点で、レーニンの文体は基本的手法においてレフ・トルストイの文体に近い。レーニンは名づけることに反対し、いつでも言葉と対象とのあいだに新しい関係を樹立するようにつとめ、事物を名づけたり新しい名称を固定したりはしなかった。