デレク・ジャーマン『クロマ』より

クロマ

「How Now Brown Cow」から。

　道路がグレーのアスファルトになる前、まだ泥道だった頃、陰気なブラウンの土は冬の間ぬかるみになり、夏には土埃となった。旅をすると何もかもが汚れた。おそらくそれが田舎のコートがブラウンで都会のコートが黒だった理由だ。百歳の老人が人生で何がもっとも変革だったかと聞かれて、飛行機やテレビ、あるいはラジオと答えるかと思ったら、道路が舗装されたことだと答えた。道路に砂利が敷かれる前の交通は想像を絶するものだったに違いない。