ヴィトゲンシュタイン『哲学探究』より
- 作者: ウィトゲンシュタイン,藤本隆志
- 出版社/メーカー: 大修館書店
- 発売日: 1976/01/01
- メディア: 単行本
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69 [……]誰かがわたくしに向って「子供たちに何かゲームを教えてやれ!」と言う。わたくしがかれらにサイコロ賭博を教えると、そのひとはわたくしに「そんなゲームを教えてくれと言った覚えはない」と言う。かれがわたくしに命令を与えたとき、サイコロゲームを除外することが、かれの念頭に浮かばなくてはならなかったのだろうか。
71 〈ゲーム〉という概念は輪郭のぼやけた概念だと言うことができる。−−「だが、ぼやけた概念など、そもそも概念なのか。」−−ピンボケの写真はそもそも人間の映像なのか。そのうえ、ピンボケの映像をはっきりした映像でおきかえることが、いつも都合のいいことなのか。ピンボケのものこそ、まさにしばしばわれわれの必要とするものではないのか。