北斎展

ちょっとした空き時間を利用して、東京国立博物館でやっている「北斎展」に行ってきた、ら、すごい人混みでちょっとした時間ではなくなってしまった。平日行きゃよかった。
http://www.hokusaiten.jp/
葛飾北斎は非常に好きなんだけど、あまり大々的に北斎の絵が集まる展覧会は行ったことがなかったのでこれ幸いとはせ参じたわけで。展覧会場には、「作品数が300点近くあるので観覧時間にご注意ください」というような注意書が出ていたほど点数が集まっている。これで人が少なければ素晴らしいのだが、ま、それは仕方ない。
行く前の北斎の印象は、スケールの大きなというか崇高的とも言えるせり上がった水や岩の運動や、『北斎漫画』に見られるような市井の人々や動物のダイナミック且つ微細なディティールの喚起力の高さ、といったところがあった。龍や仙人といった超常現象を描いた画には陶然とさせられるものが。
だが今回まとめて見てみると、遠近法を取り入れた技法(「浮絵」)が年を追う毎に昇華されてゆく過程や、意外と美人画がもの凄く肉感的だったこと、それに民間信仰への興味や日蓮を信仰していたことなどが見て取れとても面白かった。点数が多いから、何回行ってもいいかもしれないぐらい充実の展覧会。なんというか、ありきたりの言い方だが、「北斎の世界」がかいま見れる。
しかし93回も引っ越しした(一日3回したこともあるらしい)とか、画名を頻繁に変えて時には弟子に名前を売りつけて嫌がられたとかエピソードにこと欠かない北斎だけど、その中でも個人的にインパクトがあったのが最晩年の画名。
その名も「画狂老人卍」。
いやー、負けた。完敗。「画狂老人卍」。「サイボーグじいちゃんG」並みに思いつかない。晩年になると画風に謎めいた感じが出てきて、その名に恥じない、どこかユーモラスなような不気味なような凄惨な気魄が画にこもっているように見える。必見。

葛飾北斎伝 (岩波文庫)

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CYBORGじいちゃんG―21世紀版 (1号) (ジャンプ・コミックス)

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