パウル・ツェラン『閾から閾へ』より

「フランソワのための墓碑銘」。

世界の両方のドアが
開いたままになっている−−
二重の夜闇の中で
おまえによって開け放たれて。
ぼくらはドアがばたんばたんと鳴っているのを聞く。
そして不確かなものを、
「緑」のものを、おまえの「常[とこしえ]」へもたらす。
                 一九五三年十月

訳注には、「フランソワはツェランの出生後まもなく死んだ長男。その墓前には常緑のささやかな灌木が植えられてある」とある。
ドイツ語ができれば、原文を読んでみたいのだが。

閾(しきい)から閾(しきい)へ

閾(しきい)から閾(しきい)へ