若冲と琳派展

京都で時間が余ってしまい、たまたま京都高島屋で「若冲琳派−きらめく日本の美−細見美術館コレクションより」展がやっていたので入って見てみた。10月3日まで。
http://mbs.jp/event/200310/jakutyu/
この、細見美術館のコレクションというのは、「実業家・細見古香庵にはじまる細見家三代が、60年余りを費やし蒐集、収蔵した美術品」のプライベートコレクションだそうで。
伊藤若冲に関しては、聞き伝わるその奇妙さや細密さには半ば惹かれながらも、一方でかえって「モチーフがわかりやすすぎるんじゃないか」とか「(その奇人ぶりを伝えるエピソードからも)変人や異端が好きな人が好きな絵なんじゃ?」…みたいな先入観があって少々個人的に敬遠していたんですが、今回はじめて実際に見てみて、その先入観は改めるべきだと思わされました。
若冲からは…なんというか、当時の絵画の約束事をぶち破っているところを感じました。「奇想の画家」というか、絵に描かれるとは思われていなかったモチーフを画力と構成力で描ききっている感じ、と言えばいいのか。それは並べて展示されていた鈴木其一を見てからだったから余計そう感じたのかもしれないが、其一が約束事を組み合わせて如何によい絵を描くかを試しているパタンナー的な所があるのに対して、若冲の絵は極めて緻密にもかかわらず、どう見てもパタンナー的なところがない。「雪中雄鶏図」の雪に撓んだ竹の表現にしても、もの凄く細密に描きつつも、竹を歪ませるところではより「リアル」な感じのために表現をゆがめていたりして面白い。かといって(あえて言えば)シュルレアリスムとはちょっと違う気が…。
などと日本画に詳しくないながらも勝手な感想を持って見て回りました。個人的には酒井抱一の絵も「ふくらみ」のようなものを感じてよかった。