四畳半襖の裏張り

神代辰巳監督。はまぞうのDVDでは出てきませんが。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD20013/index.html
永井荷風四畳半襖の下張」を映画化とのこと。わたしは恥ずかしながら神代映画をはじめて観たんですが、大島渚の『愛のコリーダ』を先に観ていたので、どうしても比較してしまった。
戒厳令下、男女のことを描くというテーマは両者とも似ている。しかし一方の『四畳半』が状況に比較的関係ないように生きる男女のテクと駆け引きを焦点化しつつ、兵隊の悲しみを描いているのに対して、『コリーダ』はうんざりするほど繰り返される性交を徹底的に密室で描くのに加え、阿部定の盲目性が息苦しい窒息感を与える点で、逆説的に緊迫した政治性を描きだしていると思う。どちらが面白かったかと言ったら、わたしは後者の方を挙げたかったりする。
だが、『四畳半』の公開は1973年、『コリーダ』の公開は76年なので、前者が後者に与えた影響はあるのではないかと思われる点(無根拠な推察ですが)、やはり『四畳半』は重要な作品であるのだろう。とか思うのでした。