新日曜美術館「おたく展」特集

NHK教育、「新日曜美術館」にて「OTAKU:人格=空間=都市」展の特集を見る。恵比寿の東京都写真美術館にて開催中。
東京都写真美術館 http://www.syabi.com/

森川嘉一郎斎藤環らがコメント出演。森川によると、オタクの出現は1970年万博による未来のイメージが想像力の世界へ向かった結果、という感じの説明(未来への挫折=内向)。斎藤環は個室のディスプレイにおけるオタク個々の差異性を強調。あくまでNHK教育向けの説明っぽかったけど。
趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

趣都の誕生 萌える都市アキハバラ

わたしはコミケに行ったことがないほどこの方面には疎い。とはいえ、「萌え」という語の森川の番組内の説明(虚構を対象とする没入)はどうもイマイチ伝わらない。わたしの感じとしてはフィギュール(文字通りfigure。形態=喩え)に対する感性なんじゃないか? ……という気もするんですが。
いずれにせよ「萌え」という言葉が、語の感じからして自生的なspontaneous感情であることを標榜しているように思えることが個人的には気になる。「草が萌える」とか「萌芽」とか、また「燃える」でもいいんですけど、感情が一種の自然現象的なものとしてとらえられているような。一方、森川はオタクの経済活動によって(行政主導でなく)自生的に発達してきた唯一の都市が秋葉原なのだと説明していた。
そうすると、個々においても都市として見ても、「自然発生的であるように見えること」になぜか価値が置かれているようにも思える。しかし、テレビの説明を見た限りでは、完全に「日本文化論」。わびさびとか言っててホントかよ? と思う。結局多様性を尊重しようとか「棲み分け」理論とか、そういった話に落ち着きそうな気がするんですけどどうなんですか。
うーん。「おたく」がとりあげられるようになった背景には、恋愛orセックスの<物語>を持つことが個体性=社会性のアピールとなりえた80年代を経て、今や<趣味>を持つことが、ネットワーキングされてる中で閉じながら社会的属性を身につけてゆくことになる、という流れがあると考えていいんですかね……。