購入（『短論文』『スピノザ往復書簡集』）

スピノザ関係の岩波文庫が二冊まとめて復刊。引用は畠中尚志の解説より。

神・人間及び人間の幸福に関する短論文 (岩波文庫)

スピノザの思想の思想の発展経路をその生成の過程に於て把握し、又進んでスピノザ哲学の解釈への重要な鍵を得るためには、「短論文」は欠くことの出来ぬ作品である。それに「短論文」は「エチカ」と異なり厳重な幾何学的形式に於てでなく若々しい素朴な表現で書かれてゐるから、初心の人がスピノザの哲学の大綱を知る上に好個の手引書でなければならぬ。

スピノザ往復書簡集 (岩波文庫)

スピノザ書簡集は後世にとってどんな意義を持つであろうか。それは普通一般の書簡集の場合とやや趣を異にし、彼の生活や性格の種々相を我々に伝えてくれるという点によりは、むしろ、彼の哲学思想の理解に欠くことのできない資料であるという点にその本来的意義を持っている。このことは十七世紀における学者の書簡往復が十九ー二十世紀における学術雑誌の役割をつとめていたことを想起すれば納得できるであろう。当時において、学者の書簡往復は、単に受信者個人に宛てられたものであるに止まらず、広く一般の読者に知られることをも念頭に置いたのであった。［中略］スピノザ自身も早くから書簡の公表を意図していて、書簡の草稿に後から手を加えたり注を付したりしており、また始めオランダ語で書かれた手紙はやはり出版の日に備えてその大部分を自らラテン語に訳していたのである。

にゃるほど。
復刊ドット・コムとの関連で復刊したのかな。『神学・政治論』も復刊する様子ですね。こりゃめでたい。そういえばスピノザ全集どこかから発刊するって昔ちょっとかじり聞いた気がするんですけど、結局頓挫したんですかね……。
スピノザ協会　http://www1.odn.ne.jp/gakuju/kyokai/spinoza.html